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2014年2月25日 (火)

神の筋書き


今回のソチ冬季五輪は、誰かがシナリオでも書いたような
ドラマチックなシーンの連続だった。

とりわけ選手たちの態度・語り口がすばらしかった。

最初は女子モーグルの上村愛子選手。
最高の演技をして、ついに銅メダル獲得か
というところで米国ハナ・カーニー選手の疑惑の採点で、
惜しくも4位入賞だった。

しかし、上村愛子は採点に対する不満は全くもらさず、
「オリンピックが良い思い出で終わる」という言葉と
さわやかな笑顔を残して最後の五輪を終えた。

次に金メダル最有力候補だった女子ジャンプの高梨沙羅。
重圧に押しつぶされたのか、風にも邪魔され4位入賞。
帰国後の会見で、まず道を開いた先輩や応援してくれた人への
感謝の言葉を口にし、まだ若いにもかかわらず、
彼女の徳性の高さを感じさせた。

男子ジャンプの葛西選手は、個人銀メダルでの喜びの爆発と
団体銅メダルでの涙の対比が印象的だった。

男子フィギュアの羽生結弦はSPでの完璧な演技から、
FPでの連続ミス。それでも最後まであきらめず全力で滑り切り、
日本チーム唯一の金メダルを獲得した。

インタビューで彼は「日本人として誇りに思いたい」という意味の
ことを語ったのだが、彼のような若者が「日本人として」とか
「日本人としての誇り」というような言葉を使ったことが
新鮮であり、うれしくもあった。

そして、クライマックスが女子フィギュアの浅田真央。

もし彼女が、SPでも完璧な演技をしていたらどうだっただろう。
それでも買収されているジャッジの採点では、
恐らく彼女が金メダルを獲ることはなかったと思われる。

その時、日本人のソチ五輪に対する印象は、
非常に殺伐としたものになったのではないだろうか?

こんなことを言っては浅田選手に申し訳ないけれど、
SPでの最悪の演技は、僕には神が書いた筋書きとしか思えない。

そして、一転してFPでの最高の演技。
浅田真央にとっても、日本人にとっても、メダルはなくとも
彼女が世界最高のフィギュアスケーターであることを
確信できた瞬間だった。

こうして僕たち日本人は、とても爽快な気分で、
ソチ冬季五輪を見終えることができたのだ。

ノルディック複合の渡部暁斗も、
スノーボードハーフパイプ男子の平野歩夢・平岡卓、
同女子の小野塚彩那も、
スノーボード大回転の竹内智香も、
そして、そして出場者全員に感謝したいと思わせてくれる、
そんなすばらしい大会でした。

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