雇用の流動化
「雇用の流動化」というのは不思議な言葉だ。
これに対応する言葉は、「雇用の停滞化」になるのだろうか?
比べてみると「流動化」した方が良いように感じる。
別の言い方をすれば「雇用の不安定化」とも言えるだろう。
これに対応するのは「雇用の安定化」だ。
言い換えれば、「流動化」よりも「安定化」の方が
遙かに良いことが分かる。
こういうレトリックには気をつけなければいけない。
「雇用の安定化」は日本発展の礎だった。
雇用が安定していたから、私たちは家などの高額商品を購入し、
安心して結婚したり子供を作ったりできたのだ。
雇用が流動化して得をするのは企業だろうか?
本当は企業も、企業活動に必要なスキルを身につけた社員を、
そんなに簡単に解雇したくはないはずだ。
雇用の流動化が求められるのは、企業が安定した受注環境にない場合だ。
つまり明日はどうなるか分からないような不安定な受注環境にあって、
必要なときだけ社員を増やしたり減らしたりしたい場合である。
こういう状況は、企業にとっても望ましいものではない。
それは、政府の無策によりデフレが長引き、
事業環境が混乱したことによって生まれた新しい問題なのだ。
ゆるやかなインフレが実現された社会では、
おそらくは雇用の流動化などという言葉は必要なかったはずだ。
というか、雇用の流動化は社会環境の変化に伴い
自然に行なわれてきたことでもある。
農業から工業へ、工業からサービス業へ、
雇用は常に流動化してきたのだ。
ではなぜ、いま雇用の流動化がクローズアップされるのだろう。
それは雇用を流動化させ続けたい企業が、
政治家を巻き込んで事業の拡大を狙っているからだ。
雇用を流動化させることで利益を得ることができる企業。
それが、竹中平蔵が代表取締役会長を務める
「パソナ」などの人材派遣会社だ。
つまり、ある特定の企業に儲けさせるために経済環境を混乱に陥れ、
雇用を不安定化させようとする政策が、「雇用の流動化」の正体である。
竹中平蔵は、テレビの番組で
「正規雇用者が非正規雇用者を搾取している」と言い放った。
つまり、正規雇用者を悪者にし、
非正規雇用者を可能な限り増やすことができれば、
「パソナ」の事業を最大限に拡大することができるのである。
こんな男が政府の産業競争力会議の民間議員として参加を許され、
政府の政策をねじ曲げているのだ。
おかしな人間が権力を握ると、国がおかしくなる。
おかしな人間を排除することが、まず必要なのだと思います。
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